映画『旅と日々』ロカルノ国際映画祭 金豹賞・ヤング審査員賞 W受賞!!

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『夜明けのすべて』『ケイコ 目を澄ませて』
監督:三宅唱 
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主演:シム・ウンギョン

映画『旅と日々』

11月7日(金)より全国公開となる三宅唱監督最新作『旅と日々』が、正式招待されていた第78回ロカルノ国際映画祭
インターナショナル・コンペティション部門にて、8月16日(土)14:30(現地時間/日本時間8月16日(土)21:30)より行われた授賞式で見事最高賞である金豹賞グランプリヤング審査員賞W受賞となりました!

金豹賞の受賞は、日本映画では2007年の小林政広監督作品『愛の予感』以来、18年ぶり。
これまで日本人監督として最高賞を受賞したのは衣笠貞之助監督、市川崑監督、実相寺昭雄監督、小林政広監督の4名。金豹賞となってからは、78回の歴史の中で4人目の快挙となります。

この度、現地で映画祭に参加している三宅唱監督、シム・ウンギョン、河合優実と、日本で朗報に接した髙田万作による喜びのコメントが到着いたしました!

本作の公式上映を終えた8月15日以降、海外メディアでも「人間の悲しみと物語の本質をそっと見つめる静謐な傑作。さやかでありながら、その親しみやすさは観る者の心を捉えて離さない」(Público)、「三宅唱監督は、感情や人物描写、撮影監督・月永雄太が見事に映し出す彼らを取り巻く風景の美しさといった多層にわたる要素を織り込みながら、短編小説のような繊細な世界を紡ぎ出す」(International Cinephile Society)と称賛の声が続いています。

コメント全文

◆ 三宅唱 (監督)

ロカルノ国際映画祭、審査員の皆様、選考委員の皆様、すべてのスタッフ、そしてすべての観客の皆様に
心から感謝申し上げます。

そしてなにより、この映画に多大なインスピレーションを与えてくださったマンガ家のつげ義春さん、ならびにふたつのマンガの映画化を許諾してくださったつげ正助さんに心から感謝申し上げます。

とても驚いています。いい言葉がみつかりません。一緒に働いたすべての俳優、すべてのスタッフの本当に美しい仕事が、このロカルノの地で評価されたことを心から光栄に思います。ぼくらは最高のチームです。

この映画をつくるまえ、最悪なことがたくさん起きているこの世界で、一体映画になにができるか、深く悩んでいました。
ただ、この映画を撮りはじめて、私は映画そのものに対する愛や信頼、そしてこの世界への愛をふたたび感じることができました。
完成した映画を通して、多くの方とそれを共有できるなら、とても幸せです。

◆ シム・ウンギョン(本作主人公)

旅と日々で、李を演じることができて光栄に思います。
監督に頼りながらスタッフの皆さんと一緒に旅したゴールがロカルノでとても、とても嬉しいです。
審査員の方々、最高です!

◆ 河合優実(渚役)

びっくりして声が出ました。
三宅唱監督、本当におめでとうございます!
皆で映画を作った道のりのすべて、初めて完成を観た瞬間、ずっと心を奪われ続けたこの作品が冠をいただき、心から嬉しいです。
関わってくれた全ての方と喜びを分かち合いたいです。

◆髙田万作(夏男役) ※映画祭には不参加

作品の魅力が国や言葉を超えて届いたことを誇りに感じます。
三宅監督をはじめチームの情熱と挑戦が、さらに大きく羽ばたくことを願ってやみません。
こうして素晴らしい作品に関われたことを光栄に思います。

第78回ロカルノ国際映画祭
インターナショナル・コンペティション部門
審査員長リティ・パン氏による本作授賞式での評

最高賞を獲得した作品について。この作品は非常に繊細で、観る者を心に響く物語へと引き込みます。映像の美しさが人生の儚さと強さを映し出しています。物語は巧みに演じられており、ひとつひとつの場面が深い感情を呼び起こし、胸を打つ体験を提供してくれます。

若い審査員たちが選ぶ作品賞であるヤング審査員賞の授賞式には三宅監督とともにシム・ウンギョン、河合優実も登壇。壇上で三宅監督は「真剣に映画を味わってくれて、それを言葉にしてくれて本当に嬉しいです。ありがとうございます!」と審査員の若者たちに感謝を述べました。

シム・ウンギョンは韓国語でスピーチしたのち、日本語でもスピーチ。「華やかなこのロカルノ国際映画祭を通して『旅と日々』がさらに広がっていくといい」と今後の展望を語りました。そして、河合優実は流暢な英語で挨拶した後「シンプルだけど豊かな映画。今の世界と対話している映画だと感じた。ロカルノ映画祭の皆さんが受け取ってくれたことに感動した」と作品の手ごたえを語りました。

ヤング審査員特別賞 選出の評

我々がこの作品を選んだのは、それが「二つの季節」を描写すると同時に、「二つの相反する世界」を語っているからです。そこでは環境そのものが物語の能動的かつ不可欠な要素となっています。

前半では、脚本家は理想化された人生観に結びつく、夏の雨に濡れる海を描き出します。後半では、冬の山が舞台となり、社会の片隅で閉ざされた生き方をする山小屋の主人との関わりをはじめ、より現実的で時に困難な人間関係に直面していきます。

丁寧に構築された映像と、夏と冬の鮮烈な対比は、場所というものがどのように登場人物を形づくり、彼らの選択に影響を与えるのか、そして人生の脆さやリアルな側面をいかに浮かび上がらせるのかを物語っていました。


第78回ロカルノ国際映画祭情報

開催期間:8月6日(水)~8月16日(土)
1946年に始まり、カンヌ、ヴェネチア、ベルリンにならぶ歴史ある国際映画祭。最高賞となる金豹賞を受賞した日本映画には、衣笠貞之助監督の『地獄門』(53)、市川崑監督の『野火』(59)など日本映画界の巨匠による傑作が並ぶ。近年では、青山真治監督『共喰い』(13)や濱口竜介監督『ハッピーアワー』(15)など世界を舞台に活躍する監督陣の作品がラインナップするなか、三宅監督作品は『Playback』(12)以来、13年振り2本目の出品。

『旅と日々』作品情報

行き詰まった脚本家が旅先での出会いをきっかけにほんの少し歩みを進める――
世界の映画祭が注目する三宅唱監督が贈る、今秋最注目の珠玉のロードムービー

強い日差しが注ぎ込む夏の海。ビーチが似合わない夏男がひとりでたたずんでいると、影のある女・渚に出会う。何を語るでもなく、なんとなく散策するふたり。翌日、ふたりはまた浜辺で会う。台風が近づき大雨が降りしきる中、ふたりは海で泳ぐのだった……。 つげ義春の漫画を原作に李が脚本を書いた映画を大学の授業の一環で上映していた。上映後、学生との質疑応答で映画の感想を問われ、「私には才能がないな、と思いました」と答える李。冬になり、李はひょんなことから訪れた雪荒ぶ旅先の山奥でおんぼろ宿に迷い込む。 雪の重みで今にも落ちてしまいそうな屋根。やる気の感じられない宿主、べん造。暖房もない、まともな食事も出ない、布団も自分で敷く始末。ある夜、べん造は李を夜の雪の原へと連れ出すのだった……。

作品概要

監督・脚本:三宅唱
出演:
シム・ウンギョン
河合優実 髙田万作
斉藤陽一郎 松浦慎一郎 足立智充 梅舟惟永/佐野史郎
堤真一
原作:つげ義春「海辺の叙景」「ほんやら洞のべんさん」
音楽:Hi‘Spec
製作:映画『旅と日々』製作委員会
製作幹事:ビターズ・エンド、カルチュア・エンタテインメント
企画・プロデュース:セディックインターナショナル
制作プロダクション:ザフール
©2025『旅と日々』製作委員会
配給・宣伝:ビターズ・エンド


11月7日(金)TOHOシネマズ シャンテ
テアトル新宿ほか全国ロードショー

©2025『旅と日々』製作委員会