Interview
【創刊35周年】本誌編集長×デジタル編集長が語る「フィガロジャポンのこれまでとこれから」
CEメディアハウスが刊行する『フィガロジャポン』は、フランスの雑誌『マダムフィガロ』の日本版として1990年に創刊しました。
リスペクトするのは、Art de Vivre(暮らしの美学)を大切にするパリジェンヌの生き方と視点。
そんな『フィガロジャポン』は今年で創刊35周年を迎えます。
ウェブサイトやイベントなど、美しく豊かに生きるための多彩なコンテンツを創出しているフィガロジャポンは今、何を大切にし、どのように想い、どこに向かおうとしているのでしょうか。
フィガロジャポン編集長 森田 聖美さんと、madame FIGARO.jp 編集長 五十嵐 あきさんに、創刊35周年を記念し、これまでの歩みや誌面づくりに込めた想い、そしてこれからのフィガロジャポンについてお話を伺いました。

madame FIGARO japon
フィガロジャポンが大切にする「Art de Vivre“アールドゥヴィーヴル”(暮らしの美学)」という価値観をもとに、美しく豊かに働くためのさまざまなコンテンツを創出しています。
● プロフィール

森田 聖美 さん
CEメディアハウス フィガロジャポン編集長
(写真右)
五十嵐 あき さん
CEメディアハウス madame FIGARO.jp編集長
(写真左)
創刊35周年という節目の年を迎えたフィガロですが、あらためて、フィガロが大切にしてきたことを教えてください。
森田
フィガロのキーワードは、「アールドゥヴィーヴル(Art de Vivre)」──日本語に訳すと「暮らしの美学」です。
ファッション、インテリア、旅といったすべての要素は、日々の暮らしをより美しく、豊かにするためにあるというのがフィガロの基本的な考え方で、単に流行を追いかけるのではなく、その背景にあるストーリーや思想に目を向けることを大事にしています。
たとえば、ワインを取り上げる際も、「これはどんな醸造家が、どんな土地で、どのような哲学を持ってつくっているのか」といった背景にフォーカスします。旅の特集でも、単に「パリに行ってきました」、「映える写真が撮れました」ではなく、パリジェンヌの日常や、その土地に根づいたライフスタイルにまで目を向け、読者がその世界観に深く触れられるような記事づくりを心がけています。
情報が溢れる今の時代だからこそ、表面的なことだけではなく、その奥にある生き方や価値観、美意識に目を向けること。そういう視点を持ち続けることが、フィガロらしさだと思います。
五十嵐
そうですね。私もフィガロの編集を通して、例えばファッションも、単なる流行や物欲の表れではなく文化そのものだと思うようになりました。
シャネルなどの老舗メゾンがなぜ今も評価され続けているのか。その背景には、デザイナーの哲学や、時代との関わり、ものづくりに込められた想いがあるのです。
私は飽きっぽい性格ですが、フィガロでの仕事がまったく飽きないのは、そうした奥行きのある世界に日々触れることができるからだと思います。
ただ素敵なものを紹介するのではなく、「なぜそれが価値を持つのか」、「どんな文化的背景があるのか」を丁寧に伝えていく。それこそがフィガロらしさであり、私自身がこの仕事を続けられる理由のひとつでもあります。
森田
紙面づくりで、ここ数年、試行錯誤を重ねる中で改めて感じたのは、“フィガロらしさ”をぶれずに持つことの大切さです。
流行を追いすぎると他誌と似た内容になってしまい、雑誌として本質的な差別化にはつながらず、長く支えてくれているファンが離れてしまうと思うんですよね。
だからこそ、自分たちの色を貫くことこそが、いちばん大切なのではないかと、今改めて感じています。
過去を振り返って、特に印象に残った取材はありますか?
五十嵐
創刊25周年の時、表参道ヒルズで周年イベントをしたことです。
当時、私は副編集長で、誌面を一緒に作ってきたスタッフたちとパリやポーランドで買い付けたアイテムを販売したり、トークショーを行いました。イベントのテーマは「Bon Voyage(素敵な旅を!)」で、たくさんの読者がおしゃれをして来場してくれました。
これまでは紙面から一方通行的に発信してきたのですが、このときは読者と直接交流ができたことがとても嬉しかったです。
また、シークレットゲストに松任谷由実さんが来ていただいたことも忘れられない経験になりました。これをきっかけに本誌で連載も始まり、『ユーミンとフランスの秘密関係』という書籍化までされました。
森田
私は「世界の素敵なホテル特集」で、南アフリカのサファリロッジを取材したことが印象に残っています。ジープでライオンやゾウを追いかけたり、大自然の迫力と美しいインテリアに囲まれたりと、この仕事をしていないとできない特別な体験ができました。
またフィガロでは「映画」も大切にしてきたテーマのひとつで、映画取材を通じて多くの俳優の皆さんにお話を伺ってきました。中でも、長年大ファンだったアントニオ・バンデラスに会うことができたのは、ひとつの節目のように感じられて、強く印象に残っています!

右)「アンシャンテ ユーミン! 」を書籍化した『ユーミンとフランスの秘密関係』
今後のフィガロジャポンをどのようにしていきたいですか?
五十嵐
私自身、フィガロの編集をするようになってから、世界にはまだまだ知らない面白いことがたくさんあることを知りました。だから、フィガロを新たな発見や出会いに触れられる場にしていきたいです。
特に、感度が高い方に向けて、知的好奇心をくすぐるコンテンツや体験の場──たとえばコミュニティやイベントには、今後さらに力を入れていきたいと考えています。「FIGARO WINE CLUB」で実施している初心者向けワイン講座や、今回の周年施策の一つである「ラデュレ」とのコラボレーション企画のように、リアルな場での出会いや体験をますます大切にしていきたいです。
森田
そうですね。五十嵐さんの言うように、ご愛読いただいている読者の皆様と、顔が見える形でつながるというのは大事にしていきたいですね。
また、今はSNSや動画サイト、ショッピングのレコメンドまで、あらゆる情報が“自分の好き”に最適化されて届く時代。でも、好きなものに囲まれているだけでは、どこか満たされない感覚が残ると思うんです。
だからこそ私たちは、編集メンバーの得意なことや視点をかけ合わせて、ひとつのメディアをつくる意味があると思います。雑誌をパラパラとめくっている中で「こんな世界もあるんだ」と新たな発見が生まれる、そんな体験を仕掛けられるのが、雑誌の持つ力だと思います。
フィガロジャポンが実施しているBusiness with attitudeピッチコンテストで以前、「ネクストキャリアを前向きに考えられる場をつくる」というビジネス提案をされた方がいて、その提案がとても印象に残っています。年を重ねると、もう使い道がないと社会から見放されがちですよね。でも、本来はそれぞれの人が持っている経験や価値観にこそ意味があるはずです。
社会は「マネタイズできるか」「ビジネスとして成功するか」といった基準で人を評価しがちですが、それだけではこぼれ落ちてしまう幸せがあると思います。
社員との面談で「何を一番大事にしていますか?」と聞かれたとき、私は「関わる人が全員、幸せであること」と答えました。その目標を叶える一番の方法は、一人ひとりが自分の哲学を持って生きていけることだと考えています。
私はフィガロジャポンが、その哲学を考えるきっかけになれば良いなと思っています。誰もが、自分の“好き”を発見し大切にし続けられるような、そんな出会いや気づきをこれからも届けていきたいと思っています。

【 FIGARO WINE CLUB 】
価格や他者評価に左右されず、ワインを自分らしく楽しみ、食卓や日々の生活をより豊かにしたい、そんな知的好奇心の高い人に向けたコミュニティです。
知識が身につくワイン講座や試飲イベントの開催、ワインアドバイザーによるコンテンツを日々発信しています。

【 Business with attitude(BWA) 】
2021年に始まった「フィガロジャポンBusiness with Attitude(BWA)」は、美しく豊かに働くためのさまざまなコンテンツを創出するコミュニティ。
現在、2026/7/11(金)に開催された、起業を通じてより良い社会を目指す女性のためのビジネスコンテスト「フィガロジャポンBWA ピッチコンテスト2025」のアーカイブ映像を配信中。是非ご覧ください。
フィガロジャポン35周年 取り組みをチェック!
フィガロでは、アニバーサリーイヤーを記念し、さまざまな特別企画を展開中です。
誌面やWEB、リアルイベントを通して、フィガロならではの世界観をのぞいてみてください!
● 2025/9/30まで!フィガロ×ラデュレコラボレーション

パリ発の老舗パティスリーで、マカロン発祥のメゾンであるラデュレと、同じくパリ生まれのフィガロジャポンがコラボレーション!
ラデュレ 日比谷店にて、フィガロジャポン35周年アニバーサリー アフタヌーンティーなどの特別メニューを展開するほか、全国のラデュレ ブティックとオンラインショップでは、限定のマカロンボックスとトートバッグを販売しています。

これまでフィガロジャポンが紡いできた35年の歩みを、本誌編集長・森田さんが自らの言葉で振り返る企画も連載中です。
時代ごとの誌面づくりの裏側や、変わらず大切にしてきた価値観について語られた内容は、フィガロファンの方も、フィガロに初めて触れる方も必見です。
● フィガロジャポン 公式サイト
・ オフィシャルサイト「madameFIGARO.jp」
・ ECサイト「フィガロマルシェ」
・ フィガロジャポン Business with Attitude(BWA)
・ フィガロワインクラブ
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